|
愛宕のお山にハイカラな乗物
登山ケーブル全線竣工しきのふ華かに開通式挙行
愛宕山鉄道株式会社では昨年六月から工事中であつた登山ケーブル線がこの程完成したので二十七日午前十一時から山上愛宕駅前で全線開通祝賀式を華々しく挙行した。
佐上知事、品川内務部長、土岐市長、安川助役等の対市関係者並に横田京都商工会議所副会頭をはじめ府下の財界有力者其他来賓二百余名出席したが
定刻より約二時間遅れて午後一時式を開き風間社長の式辞についで佐上知事、土岐市長、横田副会頭等の式辞があって式を閉ぢ
山上の遊園地にて模擬店を開催、海抜二千余尺の山上の涼風にひたりつつ一同歓をつくして午後二時過ぎ閉式した。
新設されたケーブル線の工事概要は別項の如くで同社では今夏中愛宕山で左の諸計画を実行する由である。
△愛宕神社千日詣り(七月卅一日八月一日)両日終夜運転
△山上テント村(自八月二日至八月十八日)
工事の概要
【軌道】線路延長一哩三分二厘、両端高低差六三八、三八米、軌道三呎六吋、隧道六ヶ所 【電車線路】方式架空単線式、電圧交流二二〇ヴォルト
【車両】両数二両、定員八四名 【工事】着手昭和三年六月末日、工事竣工昭和四年七月二十日、営業開始昭和四年七月二十五日
(京都日日新聞 昭和4年7月28日付朝刊より)
|
|
愛宕山の奥に立派なスキー場
ケーブルがついて楽になった愛宕神社より約五丁奥、南北に走った谷間のスロープ、昨年の夏ふとこの場所を発見したのは八木町の山岳愛好家福島君であった。
スキーヤーとしても立派な腕を有つてゐる同君は雀躍して師事する中山二中校長に測量の結果を報告したところがこのスキー王もスロープ、雪量ともに理想的だとして
同氏指導のもとに開拓し漸くこの十日ごろ完成することとなった。土着の人の話は春三月中旬ごろまで雪は絶えぬさうである。
今年も去月二十三日三寸の初雪を見た。例年三尺の積雪を見ると云うから愛宕電車の割引と相俟ち、スキー場に恵まれぬ京都の好き者にとって絶好の福音とならう。
(京都日日新聞 昭和4年12月4日付朝刊より)
|
|
愛宕山ホテル竣工
予て愛宕山鉄道で工を急ぎつつあった同社山上遊園地内の愛宕山ホテルは愈々完成し、来る廿日から営業する筈であるが、同ホテルは海抜九百二十四米の山頂に擁立して俗界を忘れ去る様な山の霊気に包まれて、珍しい今年の暑さを雲海の上から眺められるだらう、茲屋は洋室十五、和室一の平屋建で狭い乍も娯楽場、浴場その他衛生設備が備わってゐる。
(京都日出新聞 昭和5年7月19日付朝刊より)
|